PDCAサイクルは、
Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)
→ Act(改善)の 4 段階で、
チームや個人で改善を進める際に使える、
とても有効な手法です。
PDCAサイクルを
わかりやすく知っていただくために、
5つのシチュエーション(状況)別に、
具体例を挙げてみましたので、参考にしてください。
目次
1.自分で、個人的なことをする場合のPDCA
2.人に、個人的なことをさせる場合のPDCA
3.自分で、仕事をする場合のPDCA
4.部下に、仕事をさせる場合のPDCA
5.チームで協力して、仕事をする場合のPDCA
6.まとめ
目次(クリックすると自動で飛びます。)
1.自分で、個人的なことをする場合のPDCA
私は腰痛持ちで、
ひどい時は3週間ベッドに寝たきりです。
今、その腰痛を克服する
PDCAサイクルを回しています。
①「Plan」計画
前回のPDCAサイクルでは、
数種類の腰痛体操を、
毎日ノルマとして実行し、
その記録をとっていました。
しかし、腰痛体操で腰が疲れてしまい、
また2週間寝込んでしまいました。
そこで、今回は、
無理なくやれることを中心に、
計画を大幅に見直しました。
例えば、
起床時と就寝時にベッドで簡単な運動や、
ゆっくり入浴して腰を暖める等です。
②「Do」実行
今回は、
あまり無理せずできることに絞ったためか、
計画した項目をきちんと続けています。
③「Check」評価
前回は
毎日記録をとりストレスがかかりましたが、
今回は記録をとらないでも、
計画通り実行できています。
④「Act」改善
既に1年以上腰痛に悩まされていませんので、
今回のPDCAサイクルは、
このまま継続します。
不幸にして、今後寝込むことがあれば、
また計画を見直して
新しいPDCAサイクルを回そうと
考えています。
⑤要点
自分で、個人的なことをする場合、
やりたいことをする訳なので、
PDCAサイクルを回す負荷は
大きくないと思います。
うまくいかなかったら、
やり方を変えて再スタートすればいいので、
気楽です。
ただ、何かを改善したいという気持ちを
持ち続けることが重要です。
2. 人に、個人的なことをさせる場合のPDCA
小学生の子供に夏休みの宿題をさせる
PDCAサイクルです。
私の子供は、一昨年は、
2学期の始業式の前日に、夜遅くまで
宿題の残りを泣きながらしていました。
昨年は、そのようなことのないようにと、
PDCAサイクルを回すことにしました。
①「Plan」計画
一昨年は、
一日の時間割を作らせたのですが、
全く守られませんでした。
そこで、昨年は、時間割作成はやめ、
夏休み期間中の予定表を作成させました。
- 宿題プリントはいつまでに片付け、
- ドリルは、毎日何ページ勉強し、
- 読書感想文はいつまでに作成する
等の夏休み計画表を作成させたのです。
②「Do」実行
その計画表に従って、
毎日実行するようにさせました。
③「Check」評価
計画表は二段書きになっていて、
上段が計画、下段に実績を記入させました。
始めのころはほぼ計画通りでしたが、
プールに行って疲れた等の理由で、
次第に実績も記入されなくなってきました。
④「Act」改善
結果的には、始業式の数日前には
宿題は終わっていました。
しかし、宿題以外の課題
(ドリルや、ジョギング等)は、
やったりやらなかったりという状況でした。
今年は、昨年の反省を踏まえ、
三日坊主に終わらせないための工夫を
盛り込むつもりです。
夏休みを有意義に過ごせるような計画を、
子供と一緒に作って、
次のPDCAサイクルを
回そうと考えています。
⑤要点
人にPDCAサイクルを回させるのは、
本人がその意味を理解し、
やる気を出さないとうまくいかないので、
自分でやるより難しいです。
飴がいいか鞭がいいか分かりませんが、
いかにやる気をださせるかが
思案のしどころです。
3. 自分で、仕事をする場合のPDCA
家内が民泊をはじめたいというので、
手伝った時のことです。
①「Plan」計画
民泊について、本を買って読み、
インターネットで検索し、
無料セミナーに参加しました。
また、不動産会社数社に連絡し、
物件を紹介してもらって比較検討し、
民泊の注意点等を教えてもらいました。
具体的な実行計画と収益計画を策定し、
民泊を始めることにしました。
②「Do」実行
契約締結、備品購入、
説明文(英・中・韓)作成、
写真撮影(プロのカメラマン)等、
計画に基づき粛々と実行しました。
他の民泊と差別化するため、
韓国人と中国人に協力してもらい、
ゲストとのコミュニケーションの
円滑化を図っています。
③「Check」評価
当初は、軽度のトラブルが続きましたが、
比較的順調に予約も入りました。
しかし、民泊宿泊単価の相場が、
昨年急激に下がった影響を受け、
予想したほどの収益を
上げることができませんでした。
④「Act」改善
当初は、一軒目で練習し、
二軒目・三軒目と数を増やす計画でしたが、
今の相場では、魅力ある仕事ではないため、
次のPDCAサイクルを回すことはやめました。
⑤要点
会社勤めで仕事をする場合は、
与えられた仕事にどう取り組むかだけを
考えればすみます。
しかし、自分で仕事をする場合には、
そもそもどんな仕事をするのか、
正しく選択しなければなりません。
私の失敗と同じような
轍(てつ)を踏まないためには、
「Plan」計画の段階で、
そのPDCAサイクルを回す必要性を
慎重に検討してください。
4. 部下に、仕事をさせる場合のPDCA
子会社のSCM(供給連鎖管理)センター長
を兼務していた時のことです。
子会社の自立化が求められ、
親会社の業務管理ソフトとは別に、
独自のソフトを導入する必要に
迫られていました。
いろいろなソフトを比較検討し、
1億円弱のソフトを導入することにしました。
それまでは、
オーダーメイド(注文服)のソフトでしたが、
今回はレディーメイド(既製服)のため、
ソフトに合せて業務処理のやり方を
変更する必要がありました。
①「Plan」計画
どのソフトを導入するかは
私が決定しましたが、
実務のことは分かりません。
そこで、SCMセンターのスタッフは、
ソフト会社の担当者を呼んで、
ソフトの詳細説明を受けました。
その結果、従来の業務処理の方法を
かなり変更する必要があることが分かりました。
製造や、生産計画、品質保証等、
他部門も巻き込む大掛かりな作業となりました。
二ヶ月程かけて、
誰が、何時までに、何を、どうするか等の、
具体的な計画が立案されました。
②「Do」実行
SCMセンターのスタッフは、
日常業務をこなしながら、残業して、
具体的な実行計画に基づき
行動してくれました。
③「Check」評価
週に一度、進捗状況の報告を受け、
スケジュール通り進んでいるか
チェックしましたが、
各担当が頑張ってくれたので順調でした。
どうしても都合の悪い部分については、
ソフトのカスタマイズ(作り変え)を
依頼することにしました。
④「Act」改善
念の為、一週間、旧ソフトと新ソフトを
パララン(並列運転)させたのですが、
何も問題は出ず、
ソフト切り替えは大成功でした。
新ソフトに切り替えた結果、
今までより業務がかなり軽減できました。
また、データの解析等も容易となり、
他部門も喜んでくれました。
ただ、さらに使い勝手を良くしたいとか、
こういうデータも処理したいとかの
要望も出てきたので、引き続き数ヶ月、
PDCAサイクルを回すことになりました。
⑤要点
やることの意義を正しく部下に伝えることが
重要だと思います。
必要性がわかれば一生懸命やってくれるので、
後は方向性をチェックするだけで十分です。
5.チームで協力して、仕事をする場合のPDCA
工場の業務課長をしていた時のことです。
会社の業績が悪くなり、
各部門で収益改善努力が求められました。
そこで、業務課として、
購買・包材・物流合理化に
取り組むことにしました。
①「Plan」計画
私からの指示は、
購買・包材・物流経費の10%削減目標です。
各チームは知恵を絞って、
計画を提出してきました。
私は、それらをチェックし、
絵に描いた餅は削除し、
具体的な実行計画まで
落とし込む作業をさせました。
②「Do」実行
具体的な実行計画に基づいて、
合理化の取り組みが始まり、
各担当は自分の分担分を達成しようと
努力してくれました。
外部との交渉が必要な場合は、
私自ら交渉を担当し、
本社や他部門の協力が必要な場合は、
私が頭を下げて回りました。
③「Check」評価
週に一度、進捗状況の報告を受け、
スケジュール通り進んでいるか
チェックしました。
やってみるとあまり効果の出ないことが
判明した案件は取りやめ、
代替案を考えてもらいました。
効果が出ている案件は、
もっと出ないか考えてもらいました。
④「Act」改善
購買・包材・物流経費の
10%削減目標に対し、
購買は5%、包材は10%、物流は15%
達成しました。
10工場の中ではトップクラスの成績を上げ、
物流合理化モデル工場にも指定されました。
しかし、まだ物流合理化の余地があるので、
優秀な若手3人を現業から引き抜き、
物流合理化専属チームを発足させ、
次のPDCAサイクルをスタートさせました。
⑤要点
チームでする場合は、
自分がやっていることを周りに正しく伝え、
皆の協力を得ることが重要だと思います。
一人で浮き上がってしまったのでは、
計画の達成は難しいからです。
6. まとめ
自分でPDCAサイクルを回す場合は、
何かを改善したいという気持ちを
持ち続けることが重要です。
また、どんなPDCAサイクルを回すのか
自分で正しく選択しなければなりません。
人にPDCAサイクルを回させる場合は、
やることの意義を正しく伝え
本人のやる気を出させることが重要です。
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